部下ができると、“自分の言うことを聞く人間ができた”と大きな勘違いをして、部下を駒のように使おうとする人がいます。だから、初めて部下をつけるメンバーには、次のような話をすることにしています。
「人を動かす」とよく言うけれど、それは、「人の心が(自然と)動く言動を自分(こちら)がする」ということで、命令や権限で人を無理やり動かすことではない、というのを理解しておいてね。
人は、理屈で動くわけではなく、感情で動くと思うとわかりやすいかな。自分のことを考えてみても、誰かが主張する理屈に心から納得してはじめて、「やってみよう」とか「協力しよう」という気持ちになるよね。逆に、いくらそれが正しいことなんだと言われても、こちらが納得できないことをやらされるのは嫌だよね。つまり、何事も、理屈ありきではなくて、気持ち(感情)ありきなんだ。
そして、仕事は自分1人でするものではなくて、そこには必ず、部下や社内の関係者、お客様や取引先など、様々な“相手”がいるよね。だから、理屈は、自分だけが正しいと思っていても意味がなくて、相手にそれが正しいと心から思ってもらえるよう、相手の心に届く丁寧でわかりやすい説明をしてはじめて、自分にとっても相手にとっても共感できる“正しい理屈”に変わるんだ。
それが、 「人を動かす」ということで、あなたをこれまで見てきて、あなたにならそれができると思えるから任せたいんだ。部下の人達に気持ちよく仕事をしてもらえるよう、僕も協力するから、わからないことや迷うことがあったらいつでも相談してね。期待しているよ。
最初にこんな話をすると、大きな勘違いは起こらず、最初の頃は戸惑いや迷いが生じるかもしれませんが、そのうちに、その人も部下の人達もしっくりくるやり方を見つけて成長していってくれるのではないでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございます。このことから、少しでも新たな気づきや考える上でのヒントに繋がることがありましたら幸いです。
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