上位者の判断が途中で変更されて仕掛かっていた仕事が無駄になることって時々ありませんか? それは、最初の判断が甘かったという場合もありますが、それ以外に、
状況が変わったり、より良い考えが浮かんだり、新たな情報が入った場合などに起こり得るものです。
今回は、「持っている情報によって判断はがらりと変わる」ことをお伝えしたいと思います。僕は、このことを、スティーブン・R・コヴィー著 『7つの習慣』に書かれたニューヨーク地下鉄のエピソードから学びました。ここでは、そのエピソードを僕なりにアレンジして紹介させていただきます。
【エピソード前半】
先日の昼下がり、商談が終わってオフィスに戻るためニューヨークの地下鉄で移動していた時のことです。とある駅で初老の男性が3人の子供を連れて乗ってきました。子供達の年齢は、8歳、6歳、4歳くらいでしょうか。最初はとてもおとなしかったのですが、しばらくすると車両内で追いかけっこをし始めました。居合わせた乗客は誰もが迷惑顔で、私以外にも多くの乗客が初老の男性に視線を向けているのですが、当の本人は見て見ぬ振りで、注意しようとも声を掛けようともしません。
<Q1:ここまで読んで、あなたは初老の男性のことをどう思いますか?>
<Q2:そして、あなたならどのような行動をとりますか?>
【エピソード後半】
さすがに見かねた私は、その男性に話しかけました。「あの子達が騒いでいるのを何とかしてもらえないでしょうか。」 すると、男性は、うつろな目をしながら元気のない様子で、「すみません・・・。乗客の皆さんにご迷惑をお掛けしているのはわかっているのですが、あの子達にどう接したらよいものか・・・。つい先ほど、あの子達の母親、つまり私の娘が病院で息を引き取ったところで・・・、父親よりも一足先にあの子達を家に連れて戻るところなのです・・・・・・。地下鉄に乗るまではとてもおとなしかったのですが・・・、本当にすみません。・・・・・・」 と、とぎれとぎれに話してくれました。
<Q3:ここまで読んで、あなたは初老の男性のことをどう思いますか?>
<Q4:そして、あなたならどのような行動をとりますか?>
地下鉄内で起きている現象(=問題)は前半と後半で何も変わっていません。違いは、ある情報を知っているか知らないかだけです。でも、その情報があるかないかで、全く同じ質問なのに、Q1・Q2に対する答えと、Q3・Q4に対する答えはまるで違ったものになりませんでしたか?
僕は、このエピソードを読んで、「人の判断は、持っている情報によってがらりと変わるものだ」ということを知りました。そして、それ以来、次の2つのことを強く意識して仕事をするようになりました。
1.持っている情報は確かか、偏っていないか、総合的な判断を下すのに不足している情報はないか、何度も確認する。
2.新たな情報が入るなどしてより良い考えが浮かんだ時には、メンバーにそのプロセスを説明の上、一度下した判断を恐れずに変える。
判断とは変わるもの、むしろ、状況変化に応じて速やかに変えるべきものだと知ってから、少し客観的に物事を見れるようになった気がします。
最後まで読んでいただきありがとうございます。このことから、少しでも新たな気づきや考える上でのヒントに繋がることがありましたら幸いです。
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